聴診 初級編:肺のささやきに耳を傾ける
肺胞呼吸音を聴き分けろ!
聴診で一番大事なのは,気管支呼吸音と肺胞呼吸音を理解し聴診すること.
気管支呼吸音は呼気が大きく聞こえる.肺胞呼吸音は吸気が大きく聞こえる.
ここが大事!気管支の近く以外で気管支呼吸音が聞こえたとしても異常呼吸音! 音が聞こえても換気できてないんだ.
肺胞呼吸音が聞こえて,さらに聴診部位が吸気と共に拡張する事を確認するんだ.
拡張しなければ聴診部位の換気が低下・減弱していると思ってよい.
最悪は吸気時に肋間が陥没~胸郭が引き込まれる.これは聴診部位に無気肺があるかも?と考えろ!
左右の違いが分かる男か!
聴診は前胸部から背部へと進める.聴診は己の字のように左右の音を聴き比べる.左右の同じ高さ,気管支からの距離で行う.
気管支に近ければ気管支呼吸音が聞こえ,離れるほど肺胞呼吸音が聴取される.
聴診するときは深呼吸を促しながらやると背中の音も聞きやすい.大きく吸うことでラ音も聴取しやすい.大きく吸ってもらってくれ.
ラ音を聞き分けろ!
あとは変な音(ラ音)がするかどうかだ.
ラ音は大きく4種類.高音・低音,連続・断続の組み合わせだ.それが吸気に聞こえるのか,呼気で聞こえるのかを評価してくれ.
吸気は風船(肺胞)が広がる音だ.肺炎等で炎症が起きると,紙風船が膨らむようにパリパリ・チリチリとした断続性ラ音が聞こえる.
間質性肺炎でよく聞こえるのが吸気時のチリチリ(高音性連続性ラ音)だ.
肺がうっ血したり胸水が増えてウエットになるとバリバリ・ブチブチなど重い音に変化する.心不全の悪化も聴診からわかるんだ.
呼気に聞こえる音で大事なのはコロコロ・ゴロゴロといった断続性ラ音だ.これは痰の音だ.しっかり排痰してくれ.
もう一つはヒューヒュー・ゼーゼー等の連続性ラ音だ.
呼気の高音性連続性ラ音(ヒューヒューピーピー)は末梢(細い)の気管支狭搾を意味している.COPDなどの閉塞性肺疾患や,肺炎・気管支炎で聞こえる.わざと強めに呼気を促すと,COPDなどの閉塞性肺疾患では狭搾音が聞けるんで試してみるとよい.
安静呼気時にゼーゼーと喘鳴がすれば,心不全か肺炎・COPDの増悪時だから基本安静だ.
吸気の狭搾音(ゴーゴー,ゼーゼー)は中枢(太い)気道の閉塞だ.喘息や肺うっ血などで聴診されるぞ.息吸ってるのに狭搾音がするって事はかなり重症だ.肺も気管支も広がっていくのに狭搾するってことだから.
吸気も呼気もゴロゴロ・ブチブチ聞こえたら痰詰まりだ!音が聞こえなくなるまでしっかり排痰してくれ.
ゴロゴロ聞こえた時の一番の注意点
喉に分泌物がたまってゴロゴロしてる場合,この喉の音が気管に響いて全肺野でゴロゴロ聞こえるぞ!
意識レベル低かったり,嚥下機能低下して唾液がや痰が喉に貯まっていたら,その音と,肺の音が混じって聞こえるんだ.これを聞き分けるにはスペシャルな耳が必要だ.
どこで聞いても同じゴロゴロした音が聞こえる時は喉を疑ってくれ.
ほんとに痰だらけの場合は呼吸介助すると手にゴロゴロと響いてくるぞ.これはラトリングって言われてるやつで,しっかり排痰してくれのサインだ.
聴診を極めると,病態把握やリスク管理の味方になるぞ!
聴診する前には病態を把握してレントゲンを見てから聴くんだ!
どんな音がするか想像してから聴く→聴いたあとレントゲンを見るを繰り返す事が大事だ!
健常人の呼吸音をしっかり理解したら,どんどん患者さんを聴診してくれ!多くのヒントを見つける事ができるぞ.
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